ポーランド少数者条約

言語権を国際条約が扱った初めての事例。第一次世界大戦に伴う国境変動の結果,ポーランドは多民族国家となった。一地域での民族間対立が外国の介入を招き大戦をもたらした,というバルカンでの反省をもとに,連合国がポーランドに対して少数民族の保護を義務付けたもの。

条文

第一条

ポーランドは,本章第二条から第八条に含まれる規定が根本的な法として認められるべきこと,いかなる法・規則または公の行動もこれらの規定に違背しもしくは干渉してはならないこと,またいかなる法・規則または公の行動もこれらに優越しないことを受諾する。

第二条

ポーランドは,すべてのポーランドの住人に,出生・国籍・言語・人種もしくは宗教による区別なく,十分かつ完全な保護を保障することを受諾する。

ポーランドのすべての住人は,公的であれ私的であれ,公序または公の風俗に反しない一切の信条・宗教もしくは信念の自由な実践に対する権利を有する。

第七条

すべてのポーランド国民は法の前に平等であり,人種・言語もしくは宗教による区別なく,同一の市民的および政治的権利を享有する。

宗教,信条または信仰告白の違いは,市民的もしくは政治的権利の享有に関して,いかなるポーランド国民にも影響しない。これはたとえば,公職や行事・式典への参加,職業や経営の実践などである。

私的交際,商業,宗教,報道または一切の出版,あるいは公の集会において,ポーランド国民によるあらゆる言語の自由な使用に対し,いかなる制限も課されてはならない。ポーランド政府により公用語の設定がなされようとも,ポーランド国民またはポーランド語以外を話す非ポーランド国民に対し,法廷において,自らの言語を口頭であれ文書であれ使用するための,適切な便宜が提供されなければならない。

第八条

人種的・宗教的または言語的少数集団に属するポーランド国民は,法律上も事実上も他のポーランド国民と同一の処遇および安全を享有する。彼らは特に,自らの出費において,慈善・宗教的もしくは社会的機構,学校および他の教育制度を設立し,運営しおよび支配する等しい権利を有し,その中において自らの言語を用い自らの宗教を自由に実践する権利を有する。

第九条

ポーランドは,ポーランド語以外を話すポーランド国民が住民の相当の割合である街および地区の公教育制度において,そうしたポーランド国民の子が自らの言語を通じて小学校の授業を受けられるよう,適切な便宜を提供する。本規定は,ポーランド政府がそうした学校においてポーランド語の教育を義務とすることを妨げるものではない。

法令情報

署名
1919年6月28日
当事国

2008年08月01日
平野敬 [HIRANO, Takashi]
t.hirano.jp@gmail.com